ヒット歌舞伎映画『国宝』、日本の実写記録に迫る
伝説の歌舞伎役者を主人公にした3時間ドラマが6月に全国公開された際、配給会社でさえ期待は低かった。
しかし、『刻刻』は初週末の興行成績が振るわなかったものの、たちまち劇場に観客が殺到し、今では日本の実写映画の興行収入記録に迫っている。

「古典芸能というテーマは観客層を限定するもので、若い世代に受け入れられるとは予想していませんでした」と、配給会社である東宝の取締役専務執行役員、市川南氏は語る。「なぜこれほどヒットしたのか、今でも理解できません。」
6月6日に公開された本作は、6月6日から8日までの週末興行収入ランキングで3位にとどまりました。
その後、『刻刻』は9月23日までに興行収入150億円を突破し、22年前に公開された『踊る大捜査線 THE MOVIE 虹の橋を守れ』の興行収入173億5000万円に次ぐ記録を打ち立てました。
『刻刻』は公開から110日間で1066万枚のチケットを売り上げ、ファンがロケ地を訪れるなど社会現象にもなっています。
『刻刻』は、朝日新聞に連載されていた吉田修一の同名小説を原作とし、李相日監督が監督を務めました。
物語は、ヤクザの家に生まれながら歌舞伎役者を目指す菊夫(俳優・吉沢亮)を描いています。
彼は名門歌舞伎一門の息子である俊介(横浜流星)と共に競い合い、成長し、最終的には人間国宝へと上り詰める。
日本の実写映画業界では、圧倒的な人気を誇る原作やテレビ局による大規模なプロモーションなしに、興行収入で大きな成功を収めることは不可能だと長らく信じられてきた。
しかし、『刻火』は業界の常識を覆した。
エンタテインメント業界誌「文化通信ジャーナル」の編集長、松本孝徳氏は、『刻火』は当初、若者の間での知名度が低かったと見ている。
「しかし、SNSの口コミで好意的なレビューが広がるにつれ、若者層だけでなく幅広い層にも認知され、興行収入が予想外に伸びたのです」と松本氏は語る。
朝日新聞は、データ分析会社ユーザーローカル社から提供された、6月1日から9月7日までのX(旧Twitter)における映画に関する投稿31万5006件を無作為に抽出し、分析を行った。
全投稿のうち、32.2%が『刻刻』の主演である吉沢と横浜のどちらかに言及していた。
この映画のハイライトは、二人の俳優が出演する舞台の舞台シーンである。彼らの演技の人気と、ファンによる活発な投稿が話題を呼んだのだろう。
また、投稿数のピークは公開直後ではなく、公開から2週目の週末である6月15日だった。
投稿数がピークに達する4日前の6月11日、人気歌舞伎役者の市川團十郎がXに「関係者の皆様に拍手」と本作を称賛するメッセージを投稿し、話題となった。
主演俳優陣への好意的な評価は、公開後1週間でX内で徐々に幅広い層にこの映画の存在を知らしめたと考えられる。
そして7月下旬頃、X内で興行収入予想を追跡しているアカウントが『刻刻宝』の興行収入が100億円を超える可能性を示唆し始めると、「100億円」に言及する投稿が増加した。
さらに、「吉沢亮を100億円男にしろ」といった投稿も相次いで増加した。
この言葉は、7年前、アニメ『名探偵コナン ゼロの執行人』が大ヒットした際に「安室透を100億円男にしろ」と叫ばれたことと重なる。
主演俳優ファンの一部から寄せられたこの発言は、映画『刻刻宝』への期待をさらに高めたようだ。
その結果、興行収入は100億円を突破した週末に前週比28%増を記録した。